Appleから ProRes 4444 XQ が発表

2014年6月27日(米国時間)にAppleからデジタルシネマカメラのセンサの広いダイナミックレンジを活かすことができる低圧縮・高ビットレートのPro Res 4444 XQが追加されました。新コーデックの詳細については既に各所で紹介されていますので、今回はファミリーが増えたコーデックのデータレートについての話題です。

ProResのデータレート感覚を身に付ける

ノンリニア黎明期から大まかなデータレートを感覚的に身につけておくことを周囲に奨めてきました。データの重さや軽さを感覚的に知っておくことで、データ量が制作作業に及ぼす影響を予測したり、必要なストレージ容量の把握、機材やワークフローのトラブルシュートなど、いろんな場面で役立てられるからです。

ただ、古い知識を引きずっていまして、いまだに10ビット4:2:2、1080/59.97i非圧縮を基準としたデータレート感覚が身についてしまっています。今回のAppleのProResホワイトペーパーの付録として掲載されていたビットレートと1時間あたり消費データ量の一覧を眺めて、圧縮コーデックを中心としたデータレート感覚に改めるべき、との考えを強めました。

そうは言っても、ProResホワイトペーパーの2ページに及ぶ一覧表をプリントアウトして机に貼ってみたところで覚えられる気がしません。とりあえずフレームレートを30p/60iだけに絞り込んで表をまとめ直してみました。30p/60iのデータレートを知っていれば、24pなら8割、60pなら2倍という具合にすぐに計算できるからです。出来上がった表はこんな具合です。

 - -
フレーム
レート
Prores 422
Proxy
Prores 422
LT
Prores 422 Prores 422  HQ ProRes 4444 
(4:4:4データ、α無し)
ProRes 4444 XQ 
(4:4:4データ、α無し)
規格 解像度 Mbps GB毎時 Mbps GB毎時 Mbps GB毎時 Mbps GB毎時 Mbps GB毎時 Mbps GB毎時
SD-NTSC 720 x 486 60i, 30p 12 5 29 13 42 19 63 28 94 42 141 64
- 960 x 720 30p 19 9 44 20 63 28 94 42 141 64 212 95
HD 720 1280 x 720 30p 23 10 51 23 73 33 110 49 165 74 247 111
- 1280 x 1080 60i, 30p 38 17 87 39 126 57 189 85 283 127 424 191
- 1440 x 1080 60i, 30p 38 17 87 39 126 57 189 85 283 127 424 191
HD 1080 1920 x 1080 60i, 30p 45 20 102 46 147 66 220 99 330 148 495 223
- 2048 x 1080 30p 52 23 116 52 168 75 251 113 377 170 566 255
- 2048 x 1556 30p 70 31 157 71 226 102 340 153 509 339 764 344
UHD 4K 3840 x 2160 30p 182 82 410 185 589 265 884 398 1326 597 1989 895
DCI 4K 4096 x 2160 30p 194 87 437 197 629 283 943 424 1414 636 2121 955
5K 5120 x 2160 30p 243 109 546 246 786 354 1178 530 1768 795 2652 1193

コンパクトにはなりましたが、やはり解像度のバリエーションの多さとProResコーデックファミリの多さで覚えるのは大変です。システムを管理したり、設計したりする場合はこの一覧表をおぼえておきたいところですので、ちょっとアプローチを変えてみましょう。ProRes 422(無印・ノーマル)の数値を基準として、各派生コーデックのデータレートの倍率を求めてみました。

HD 1080/60i ProRes 422 を基準に単純化して覚える

 - Prores 422
Proxy
Prores 422
LT
Prores 422 Prores 422  HQ ProRes 4444 
(4:4:4、α無し)
ProRes 4444 XQ 
(4:4:4、α無し)
ProRes 422比
倍率
30% 70% 100% 150% 225% 336%

ノーマルのProRes 422を基準にすると、覚えやすい倍率にまとまっています。「基準となる1080/60iが、ノーマルのProRes 422で147メガビット毎秒、66ギガバイト毎時」とだけおぼえておけば、1080/60iでの各派生コーデックのデータレートが算出できるようになります。

では、一覧表の横軸の関係に対して、縦軸つまり解像度ごとのデータの比率を計算してみました。今度はHD 1080を基準にしています。
実際のデータ量の比率と、参考にピクセル数の比率を算出した数値を出しています。

規格 解像度 データ量比率 総ピクセル数比
SD-NTSC 720 x 486 28% 17%
- 960 x 720 43% 33%
HD 720 1280 x 720 50% 44%
- 1280 x 1080 86% 67%
- 1440 x 1080 86% 75%
HD 1080 1920 x 1080 100% 100%
- 2048 x 1080 115% 107%
- 2048 x 1556 155% 154%
UHD 4K 3840 x 2160 410% 400%
DCI 4K 4096 x 2160 428% 427%
5K 5120 x 2160 535% 533%

あまり使うことのない解像度を除けば、「SDは3割弱、720は半分、4Kは4倍強のデータ量」というふうに単純化して覚えることができます。(※初出時にSDは1/4としていましたが、1080比で約28%ですので3割という表現に変更しました)

2ページの一覧表をすべて頭の中に入れることは難しいのですが、ノーマルのProRes 422が、HD 1080/60iで秒間147メガビット、66メガバイト毎時という事と、あとは各派生コーデック間の倍率と縦軸の倍率さえ知っていればいいということになります。たとえば、映画用にProRes 4444 XQ、DCI 4K 24pの撮影素材があった場合でも、

ビットレートは1080/60iの147MbpsをXQなので3.36倍、さらにDCI 4Kなので4.28倍、フレームレートは24pなので8割ですので…
147 x 3.36 x 4.28 x 0.8 = 1691.18 メガビット毎秒

さらに1時間あたりの必要データストレージ容量は、66ギガバイトの 3.36倍、さらに4.28倍でフレームレート8割を掛けて…
66 x 3.36 x 4.28 x 0.8 = 759.30ギガバイト
という具合に計算することができます。

さらに数字を丸めて、ざっくりと。

だいたいの数字をざっくりと暗算できるようになると便利です。データレートを「感覚」で身に付けるというのが目的ですので、正確である必要はありません。もうちょっと丸めた数字で計算しやすいようにしてみましょう。

ノーマルProRes 422、HD 1080/60iの147Mbpsは約150Mbpsという数字で構いません。ちなみに、8ビット=1バイトなので、150メガビット毎秒は18.75メガバイト毎秒のデータ量です。

1時間あたりの容量、66ギガバイトですが、これはざっくり70ギガバイトという数字でも構わないでしょう。
66ギガバイトというと、身近な例では現在大容量なSDカードだと64ギガバイトのものが販売されていますが、これが1時間の収録でちょっと足りないというイメージで把握できると思います。

最後に、おおまかなデータレートと容量を算出するために必要なデータをまとめてみました。これなら難なく暗記でき、暗算も簡単になることでしょう。

ノーマルProRes 422、 HD 1080/60iのデータレートと1時間あたり消費容量

基準ビットレート
1時間あたり容量
約150Mbps 約70GB

 ProResファミリ Proxy LT Prores 422 422 HQ 4444 (α無し) 4444 XQ 
(α無し)
ProRes 422比
倍率
3割 7割 (基準) 1.5倍 約2倍強 約3倍強

規格 解像度 データ量比率
SD-NTSC 720 x 486 約3割
HD 720 1280 x 720 半分
HD 1080 1920 x 1080 (基準)
4K 3840 x 2160 4倍強