PresSTOREユーザー事例 : ドイツ・Wort & Bild Verlag (W&BV社)

雑誌編集プロダクションにおけるの最新のデータ管理手法

Wort & Bild Verlagドイツの健康雑誌編集のマーケットリーダーである出版編集プロダクションのWort & Bild Verlag(ヴォルト・ウント・ビルト・フェアラーク)社は、編集制作に多くのMacを導入しています。120カ所以上のデスクで、1週間に15誌もの雑誌をアドビ製品を使って刊行しています。同社では社内データの記録と外部メディアサービス会社への制作データの同期複製にArchiware社のPresSTOREが導入されました。

 

■ Mac OS Xサーバーへの集約と異機種混在環境

W&BV社はAppleからMac OS X 10.2(Jaguar)とXserveが発表された直後からWindows NT / 2000とMac OS 9 ベースのサーバーを段階的にOS Xのサーバーへの移行を進めてきました。複数のWindows PCがセントラルファイル・アプリケーションサーバーとして電子データ処理(EDP)部で動作している一方、OS X サーバーのRAIDストレージにすべての制作データとスタッフのファイルが移されました。この他に制作電子データ処理部門では、HP製のLinux機とWindows 2000サーバーや、VMware、Citrixを混在させて特殊用途に使用しています。こうした異機種混在構成の環境で急速に増加するデータ量に対応できる、新しいデータセキュリティソリューションの導入に同社は迫られていました。

広告メディア制作用のセントラルプロダクションサーバーとして、1.5テラバイトのディスクを搭載したXserve G5が稼動し、Indesignジョブアーカイブの他、9万点のスキャンデータを収録します。別棟にはメモリ容量を増強した別のXserve G5 が設置され、PresSTOREバックアップサーバーを兼ねたバックアップシステムとして運用されます。さらに3式のXserve G4システムが編集サーバーや部署のサーバーとして運用されています。これらはミューラープランゲ社の編集工程管理ソフトウェア「K4パブリッシングシステム」とW&BV社電子データ処理(EDP)技術部長のホルツナー氏が開発した「4D生産管理システム」が動作しています。

すべてのサーバーは各部署に所属する全ユーザーのプロファイルを構成します。たとえば、設定に加えて全てのスタッフのデスクトップ上にあるすべての文書をXserveシステムから利用できるようにします。全てのサーバーで現在使用されている容量の合計は2.5テラバイトにのぼり、ホルツナー氏は2006年末には3.5テラバイトに増大するだろうとみています。

 

■PresSTORE選定の経緯

システム更新は「強力でスケーラブルなバックアップ・システムの実現」をコンセプトとし、クライアントと設定管理のすべてがOS Xに完全対応していることが条件とされました。それまで使っていたバックアップソフトウェア"R"は、既にファイル数の増加により限界に達しており、I社のソフトウェア"T"はMac OS Xへの対応と運用に必要な機器に不安を感じていました。また、信頼性の理由によりフリーウェアとシェアウェアは排除されました。

ArchiwareのPresSTOREはMac OS Xネイティブ対応、すべてのプラットフォームから中立なデータ形式、あらゆるOSのクライアント端末に対応し、複数のサーバーへの並列アクセスによる非常に高いデータスループットを備え、ホルツナー氏を納得させました。

予想外の利点として、PresSTOREのシンクロナイズ機能は、中央プロダクションサーバーのクローンをバックアップサーバーに生成するだけでなく、遠隔地にあるメディアサービス会社のファイルシステムに対しても機能します。こうすることで、バックアップサーバーをコールドスペアのデータサーバーそのものとして使用することができ、万一セントラルサーバーのRAIDがダウンした場合でも即座に制作に使用することができます。この構成により、データを復元するための時間がかかるリストア処理を待つことなく制作を続行できます。

PresSTOREの決定にはコスト面での魅力も手伝いました。Xserve G5 と 2.8テラバイト容量のXserve RAIDを接続したバックアップサーバー、LTO 200/400GBのATL M1500 SX ストリーマーで構成され、データバックアップソフトウェアは総費用の10%程度とシステム全体からは低いコスト比重に収まっています。

■ 導入

インストールはArchiwareがVPN経由でW&VB社に接続して実施しました。ソフトウェア・アップデートも2、3日以内に完了し、PresSTOREに関する質問は電話や電子メールですぐに返答されます。ホルツナー氏は、Archiwareのサービスとプロフェッショナル精神に大変満足しています。直感的なインターフェイスでありながら、包括的な機能をシンプルにまとめたPresSTOREにより、Archiware社員による1日で開催されたアプリケーションの導入講習はホルツナー氏に十分な内容でした。ホルツナー氏は安全に関する概念を解説した詳細な運用ガイドを作成しました。

 

■ テープストリーマーへのバックアップ

テープストリーマーを接続したバックアップサーバーはホルツナー氏がセットアップしました。120のテープを備えたプールが、全体のデータ保存先ターゲットとして利用されます。各担当者のデータは、担当者ごとに個別のバックアップジョブの設定が必要です。誤った作業が他のバックアップのプロセスを妨げること無くデータ保存の安全が確保されます。ホルツナー氏はPresSTOREをウェブブラウザから操作して個別のバックアッププランを数分で簡単に設定しています。就業日のウィークデーには増分バックアップが行われ、週末にはフルバックアップが実行されます。LTOテープの不良などからデータ消失を防ぐために、データはバックアッププールの2つめのテープマシンにミラーしてバックアップします。

プロダクションサーバーのフルバックアップは、1.5テラバイトに及び、マウントするまでに15時間を要します。2週ごとに新しいのサイクルが前のデータに上書きすることなく開始されます。EDPは4サイクルの間プールに保管され、そのあとで上書きのためにテープが再利用されます。さらにホルツナー氏は、完全なバックアップセットをスナップショットとしてPCバックアップ・サーバの近くに保管し、データを半年ごとにアーカイブします。

制作物のデータ以外にも、各サーバーのシステム設定情報は制作活動を続ける上で非常に重要です。ホルツナー氏は、Carbon Copy Clonerを使ってバックアップサーバーのイメージバックアップを定期的に行い、毎日のバックアップに自動的に組み込まれます。時々個別のワークステーションのデータもバックアップされます。個別の担当者のデータディレクトリもサーバーに配置され、PresSTOREによって自動的バックアップが行われます。

(※注 : 本事例が作成された後、クライアントバックアップ用のモジュール「PresSTORE Backup2Go」が登場しています)

新しいシステムはとても信頼でき、二重化されているのでテープからの完全なリストアが必要になる場面は経験していません。InDesignやPhotoshopのファイルが日常の作業で損傷したり、間違って消去してしまった場合でも、2時間ごとにシンクロナイズバックアップされたデータを読みに行くことで対処できます。ただ、編集経過の数世代前のバージョンのファイルが必要な場合にはテープからリトリーブする必要があります。

wbv

■ 外部の協力制作会社との連携をSynchronizeのデータ配布機能で実現

PresSTOREの便利な別の使い方としては、編集会社のサーバーにあるメディア制作会社からの広告データやロゴの転送です。ファイヤウォールで保護されたメディア制作会社のアーキウェアサーバーとの接続の確立が必要になります。指定されたサーバー領域に対しての同期作業が夜間に実施され、広告の決定原稿は高解像度データとして翌日にはInDesignのレイアウトに埋め込まれます。

 

■ まとめ

W&BV社のOS Xへの移行はほぼ完了し、まもなく10.4へのアップグレードを予定しています。これは、出版プロダクション会社のほとんどがMac OS Xサーバー技術で完全に運用できる可能性をしめしています。

この事例では、PresSTOREソフトウェアが日々のデータ保存において重要なツールとして機能することを証明しました。また、長期保管のためのアーカイブとローカルデータサーバーとネットワーク上に散在する格好で漫然と保存されたデータとの効率性を対照的にするものです。

■ 出版編集プロダクション・Wort & Bilds社について

出版編集プロダクションのWort & Bilds社は、半世紀にわたって雑誌やその他のメディアを通じて健康情報を幅広い読者に提供してきました。薬局で配布される医療専門誌として有名な「Apotheken Umschau」、「Baby & Familie」(赤ちゃんと家族)、「Gesundheit」(健康)、「medizini」(児童向け医学情報誌)などを出版するほか、家族と健康を扱った複数のインターネットポータルサイトの運営や、ペーバーバックの健康ガイド書籍シリーズの編集も手がけています。同社は自らを消費者とのよりよい関係を結び、売上の増加をねがう薬局のパートナーであると捉えています。